吉本興業グループが映画祭を開催! 「京都国際映画祭」レポート
京都市役所前広場に展示された、永井英男《B- PROJECT “へそで投げろ”》

吉本興業グループが映画祭を開催! 「京都国際映画祭」レポート

「映画もアートもその他もぜんぶ」というテーマのもと、京都の様々な施設を舞台に、映画とアートを中心に紹介するイベント「京都国際映画祭2016」が、10月13日〜16日に開催された。吉本興業グループが運営する本映画祭の、アート部門の様子をレポートする。


芸人による多様な美術表現を見た、3年目の京都国際映画祭

 10月13日から16日までの4日間、京都市役所前の広場に全長7メートルのジャイアント馬場像が現れた。実物の自動車をバックドロップするその姿に、通行人は面白がってカメラを向ける。「映画もアートもその他もぜんぶ」の標語を掲げる京都国際映画祭2016の象徴的な展示だ。この光景は、新聞社のニュースサイトで速報され、SNS上で瞬く間に拡散された。

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西本願寺・伝道院の前に立つYottaと《金時》。10月13日には、よしもとの芸人が焼き芋を無料配布した

 今年は西本願寺・伝道院(通常は非公開)や廃校、百貨店といった様々な会場に、現代美術家から芸人までの作品が並んだ。本映画祭アート部門プランナーのおかけんたが、思いを語る。

「よしもとがアート事業を行うことについて、『なぜお笑いの企業が?』と首をかしげる方もいます。私は、この映画祭のアート部門に芸人が取り組むことで、いままで興味のなかった人々が本格的なアートの世界に触れるための足がかりになれば、と思っています。文化的なものに関心を持つきっかけを提供したいです。

 最近の傾向として、これまでたんなるコントのネタで終わっていたことをもう一段掘り下げて、自分の知識や技術として習得するところまで挑戦するタレントや芸人が増えてきました。お笑いという方法以外でも表現したいものを、彼らは持っているんです。こうした活動を継続し活性化させていくことが、アート人口の拡大には大事なのではないでしょうか」。

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マンガ家・蛭子能収「えびすリアリズム」の展示風景
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お笑いトリオ「ロバート」に所属する秋山竜次の「クリエイターズ・ファイル展 in 京都」の展示風景

 アートプロジェクトが各地で林立している昨今、京都の伝統文化とお笑いという自前のコンテンツで、アートの垣根を取り払おうと奮闘する本映画祭の姿勢には、好感が持てる。ただし「その他もぜんぶ」ひっくるめた企画の煩雑さは否めない。芸人たちの発想があれば、各会場の案内や展示の見せ方も、より親しみやすくわかりやすいものにできたのでは、とも思う。アートと笑いの種を蒔き続けながらも、今後は芽吹いたものを根付かせる活動も必要になってくるだろう。

松﨑未來=文
『美術手帖』2016年12月号「INFORMATION」より)

京都国際映画祭2016
10月13日〜16日に京都各所で開催された、3回目となる映画祭。映画、アートの2部門で構成され、運営を吉本興業グループが担っている。今回は西本願寺や元離宮二条城などが新たな会場に加わった。アート部門のプランナーは、漫才師・現代美術コレクターのおかけんた。
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