期待のアーティストに聞く! 「アート」を語る伊東宣明
WAITINGROOMにて Photo by Fuminari Yoshitsugu

期待のアーティストに聞く! 「アート」を語る伊東宣明

関西を主な拠点に、人間の本質に迫る映像やインスタレーション作品を発表してきた、1981年生まれの伊東宣明。WAITINGROOM(東京・恵比寿)で11月26日から個展「アートと芸術家」を開催する伊東に、作品について聞いた。


「アート」の奥に翻るリアルとフィクション

 聴診器を通して聞く自分の心臓のリズムに合わせ、赤々とした生肉の塊を叩く《生きている/生きていない》。あるいは「戦時中、髪の毛で代用醤油がつくられていた」という都市伝説をもとに、自身の髪の毛から醤油を生成した《≒醤油》。伊東宣明は「人間の本質的な部分であり、逃げられないもの」だと言う「身体」「精神」「生/死」を軸に、映像やインスタレーション作品を発表してきた。

ato02itoh.jpg伊東宣明 アート(日本Ver.) 2015 シングルチャンネルビデオ、サウンド

 WAITINGROOMにて11月26日から12月25日まで開催する個展では、2種類の映像作品を発表。伊東が各地のアートスポットを巡り、抑揚のある口調で「美術とは何か」を語る自撮りの作品《アート》では、伊東は伝道師のような雰囲気をまとう。「作品の先にある"X"を追い求めるものこそがアートだ、と主張しています」。

 一方、《芸術家》は、作家か「普通」の生活か、その境界に佇む女性が主人公の映像作品だ。歴史上の芸術家の名言で構成された「芸術家十則」を1分以内にすべて絶叫することを伊東により課された女性は、達成までの過程で、時に感情を露わにしながら作家として生きる決心を固めていく。「《芸術家》は、制度によって精神が矯正されること。また、作家の"不自由さ"について表しています」と伊東は言う。これら2つの作品は、異なる「芸術像」を示す。しかし共通するのは、それらがいくつかの事実と矛盾を含んだ「フィクション」であることだ。「美術に対して自分が信じたいこと、あるいは状況への揶揄を込めています」と話す作品は、現実と虚構の狭間をゆらぎ、真意を見え隠れさせる。そして「アーティスト」である伊東本人が作品に登場し語ることで、より複雑に多層化され、見る者の認識をゆさぶる。

文=野路千晶
『美術手帖』2016年12月号「ART NAVI」より)

伊東宣明「アートと芸術家」
会期:2016年11月26日~12月25日
会場:WAITINGROOM
住所:東京都渋谷区恵比寿西2-8-11渋谷百貨ビル3階4B
電話番号:03-3476-1010
開館時間:月 17:00~23:00、木・金・土 12:00~19:00、日 12:00~18:00
休館日:火、水、祝
URL:http://waitingroom.jp/japanese/exhibitions/current.html
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