第11回西洋美術振興財団賞にティルマンス展の植松由佳ら決定
「学術賞」を受賞した野中明(前列・左から2番目)と植松由佳(前列・右から3番目)

第11回西洋美術振興財団賞にティルマンス展の植松由佳ら決定

今年度の「第11回西洋美術振興財団賞」に、大阪・国立国際美術館の植松由佳(主任研究員)らが選ばれ、11月15日、都内で顕彰式が行われた。「西洋美術振興財団賞」は、公益財団法人西洋美術振興財団が、過去2年間に行われた西洋美術を対象にした展覧会のなかから、西洋美術の理解と文化交流の促進、西洋美術研究発展のために顕著な業績を残した学芸員らを顕彰するもの。


 今年度の選考審査委員は大髙保二郎(早稲田大学名誉教授 ※委員長)、笠原美智子(東京都写真美術館事業企画課長)、建畠晢(多摩美術大学学長)、松葉一清(武蔵野美術大学教授)、三浦篤(東京大学大学院教授)の5名。

「学術賞」に選ばれた植松は、昨年、国立国際美術館で開催された「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」(2015年7月25日〜9月23日)が受賞の対象となった。同展は、ドイツ出身の写真家、ヴォルフガング・ティルマンスの日本の美術館で11年ぶりとなる個展。ティルマンス自身がデザインした展示空間で、日本初公開となった新作・近作を多数含んだ写真作品にくわえ、2014年にヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で発表され、大きな反響を呼んだ映像インスタレーション《Book for Architects》(2014)も展示。《反「戦争法案」デモ、大阪》(2015)といった、ティルマンスが大阪で遭遇した出来事を展示に取り入れたことでも話題となった。

 今回の受賞について植松は 「現代美術は私たちが生きているこの社会の批評機能のひとつ。ティルマンスの表現する世界は、私たちが生きているこの世界そのもの。鑑賞者の皆様と、その世界を共有できればと思って開催した」と、同展への思いを語った。

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「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」の会場となった国立国際美術館

 また、同じく「学術賞」では長崎県美術館の野中明(学芸員)が同館での「スペインの彫刻家 フリオ・ゴンサレス展」(2015年6月7日〜7月20日)で受賞。「20世紀彫刻の父」と称されるフリオ・ゴンザレスの仕事を網羅的に紹介する日本初の展覧会となった同展は、岩手県立美術館、世田谷美術館、三重県立美術館へと巡回。「自分がまさか担当するとは考えていなかった。あまりの重圧に、本当に気がおかしくなるんじゃないかというときもあった」と苦労をにじませながらも、「作家が作品に込めた想いに負けないように、きちんとした紹介の仕方をしたいと力を尽くした」と、同展開催にかけた思いを述べた。

 なお、学術的に優れた展覧会などの実現に貢献した団体に贈呈される「文化振興賞」は、吉野石膏株式会社が受賞。同社所蔵の作品を様々な展覧会や美術館に貸し出したこと、および「公益財団法人吉野石膏美術振興財団」を設立、運営している点が受賞につながった。

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