上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座⑥ 仕上げ編
「openCanvas」でデジタルペイントに挑戦する上田麗奈

上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座⑥ 仕上げ編

初心者にもやさしい直感的な操作が可能な多機能・低価格のペイントソフトとして、多くのクリエイターから支持を得ているペイントソフト「openCanvas」。声優の上田麗奈が、同ソフトのメインアートワークを手がけた人気イラストレーター・藤ちょこさんにその魅力を教わる連載です。これまで描いてきた少女(いもちゃん改め、コスモちゃん)も、いよいよ最後の仕上げ。デジタルならではの機能で、画面全体に様々な演出をしていきます。(第5回はこちら


パーツを複製して画面に配置する

藤ちょこ(以下、藤):今日は、上田さんが当初からイメージしていたシャボン玉を、コスモちゃんの周囲に描いていきましょう。

上田麗奈(以下、上田):はーい。よろしくお願いします。

藤:前々回の収録の休憩時間中に、上田さんがシャボン玉を描いていましたよね。ペンツールのペン先を太めに設定して、円形をポンポン重ねてつくっていました。あのシャボン玉をベースにして、色や大きさに変化をつけながら、コスモちゃんの周りに複数のシャボン玉を配置していってみましょうか。

上田:そんなことができるんですか!?

開発チーム(以下、開発):ちゃんと休憩時間中に描いたファイルも保存してありますからね。[過去に保存したシャボン玉のファイルを開く]

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上田が以前の休憩時間中に描いたシャボン玉。大きさや色を変えていくつも円を重ねることで、つくられている

藤:このシャボン玉をコピーして、コスモちゃんのファイルにペーストします。[最上部の新規レイヤーにシャボン玉の図柄があらわれる]

上田:大きい!

藤:そうですね。このままだと大きすぎるので、まずはサイズを変えましょう。画面上のメニューから「レイヤー」を選び、「変形」という項目を選んで、さらに「拡大縮小」を選びます。そうするとシャボン玉のまわりに四角い枠が出てきます。「自由変形」ウィンドウの「縦横比を固定」にチェックを入れて、この四角い枠の角をカーソルで動かせば、サイズを調整できるようになります。これを好きな場所に配置してください。

上田:[シャボン玉の大きさを調整しながら]へー、こんな簡単にできるんですね。

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上田が描いたシャボン玉を、コスモちゃんのファイル上にコピー&ペースト。サイズの調整も簡単にできる

藤:さらに、このシャボン玉の素材のあるレイヤーを複製して、同じシャボン玉をいくつも画面上につくることができます。「レイヤー」ウィンドウの右上のメニューから、選択しているレイヤーを複製してください[シャボン玉をペーストしたレイヤーが複製される]。この複製したシャボン玉を移動して回転させると個々の見え方が変わるので、同じ素材をいくつか画面に並べても、いかにもコピーしたというような印象がなくなります。「自由変形」ウィンドウの円形マークのところで回転できますよ。

上田:わぁ〜、すご〜い。回転した〜。これはアナログではできないですね。こうやってレイヤーの複製を繰り返せばいいんですか?

藤:はい。複製したものをさらに複製すると画像が粗くなるので、最初のレイヤーを複製していって数を増やしたほうがいいです。

開発:コスモちゃんという名前だと、シャボン玉が惑星に見えてきましたね。

上田:惑星という設定にします? コスモちゃんを中心に太陽系みたいにぐるーって。

藤:銀河の中心に彼女がいる......コスモちゃん、セカイ系ですね。

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コスモちゃんの周囲にシャボン玉を配置する上田。個々のシャボン玉を回転させると、一見して同じパーツのコピーに見えづらくなる

コスモちゃんを中心に、5つのシャボン玉をほぼ左右対称に配置したところで、上田の手が止まりました。

上田:うーん、大丈夫かな......。

藤:あ、何かわからないことがあれば聞いてくださいね。

上田:コスモちゃんが、もはや何者なのかわかりません。

藤:あ、絵の主題の話ですか?(笑)

開発:確実に言えるのは、どんどん強そうになってるってことですよね。実は、この玉の一つひとつに属性があって、これが飛んできてレーザーが発射されて、カードゲームだとあらゆる属性の攻撃が可能な最強の......(妄想加速のため、以下略)

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どんどんとふくらむイメージに、もはやコスモちゃんのキャラクター設定が追いついていかない。上田の困ったときのポーズ

藤:惑星のイメージや、個々のシャボン玉に属性があるイメージをつくるなら、シャボン玉をそれぞれ別の色で光らせてみましょう。新規レイヤーを作成して、このレイヤーのモードを「加算」に設定します。

上田:キラキラした感じが出るモードですね?

藤:そうです。加算モードで、シャボン玉の上にブラシで別の色を重ねると......[シャボン玉が光っているような効果になる]

一同:おおおおおおお!

藤:シャボン玉のちょっと外側まで描くと、発光してる感じがさらに増しますよ。

上田:これは、本当に強そうですね。

藤:制服に散らしたような点を、このシャボン玉のまわりにも散らすと、より一体感が出るかもしれませんね。地道な作業ですので、腱鞘炎に気をつけてください(笑)。

上田:あ、なんか蛍が飛んでるような感じになった。[シャボン玉の周囲にひたすら細かい点を打ちながら]いま「蛍の光」が脳内再生されてます。

藤:当初「初めてのデジタルペイントで、とりあえず絵を描いてみよう」という企画だったと思うんですけれど、まさかこんなことになるとは思わなかったですよ(笑)。もっと基本的な絵で終わると思っていたので、嬉しい誤算です。どんどん世界感が広がるので、いろんな機能も使えますし、私も毎回面白いです。

開発:本当ですね。第6回でここまできてしまったので、次回の講座では少し趣向を変えようと思っています。

藤ちょこ先生と開発チームの会話の間、黙々と作業を続ける上田。やがて会話が途切れ、しばし上田が点を打つ音だけが室内に響きます。

藤:たぶん、上田さんは、こうやって点描で厚みを増していくような地道な表現が好きなんでしょうね。

上田:そうなのかなぁ......でも、そうかもしれません。

uedareina06_05.jpg夜の森で、浮遊する五色の玉に囲まれたセーラー服の少女。同じ素材のシャボン玉も、ちょっとしたテクニックで、こんなにも表情豊かになる

テクスチャーを貼りつけて、画面に表情を生む

藤:では続いて、テクスチャーをかけてみましょうか。[自分のPC内に保存してあるファイルを見せながら]これは、私が手描きしたものをスキャンした画像なんですが、こういうものをテクスチャーとして使用すると、絵全体の印象を変えることができ、デジタルの感じが少し和らぎます。

上田:いいですね。可愛い!

藤:ではこの画像を、先ほどのシャボン玉と同様に、レイヤーのいちばん上にコピー&ペーストします。画面全体を覆うようにサイズを調整したあと、このレイヤーのモードを変えていきます。

上田:ウワーーーーー! 何じゃこりゃぁ〜〜。

開発:上田さん、声が裏返ってますよ!(笑) かなり絵の雰囲気が変わりますね。

藤:モード名にカーソルを合わせると画面が切り替わるので、好きなモードを選んでください。

開発:openCanvasは、このモードやフィルタの種類が多いのも、特徴のひとつなんです。

藤:今回の作品だと「ソフトライト」モードあたりがよさそうですね。あとは、レイヤーの透明度をスライダーで調整していくとよいと思います。

上田:どのくらいにすればいいですか?

藤:これはもうお好みですが、薄くフィルタがかかっているくらいがいいんじゃないでしょうか。

上田:[スライダーを上下させながら]このくらいかなぁ。

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レイヤーのモードを切り替えると、下のレイヤーに描かれた作品との関係性で、画面にさまざまな効果が生まれる

藤:あとは、テクスチャーに使用した画像が暖色系だったので、画面の色調補正で、少し青みを足すと、画面が暗く冷たい感じになります。画面上のメニューから「フィルタ」の「色相・彩度」を選んで、「色相」「彩度」「明度」それぞれの数値を調整してみてください。「プレビュー」のチェックボックスのチェックをはずすと、元の画像がどうだったかを確認できますよ。

上田:わぁ〜。本当だ、「色相」の値を変えると冷たい印象になった。緑だと樹海っぽい感じ。「明度」の値を変えると、あ、画面全体が明るくなる。

藤:そうですね、画面の色味で作品から受ける印象がだいぶ変わります。最後にこうしてレイヤーを重ねて、画面に様々な効果を加えて調整しながら作品の世界感を仕上げていくのに、選択肢の多いopenCanvasの機能は向いていますね。

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「色相」の値のスライドバーを左右に動かすと画面全体の色みが変わる。

開発:上田さん、これで完成ですか? せっかくなので、作品にサインを入れてください。

上田:え、私のサイン、あんまりかっこよくないですよ?

開発:新規レイヤーを作成してそこにサインを描けば、あとからサインの位置を調整することや非表示にすることができますよ。

上田:なるほど。デジタルは便利ですね。[サインを入れて]完成〜。

一同:(拍手)

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最後に上田のサインが入る。ちょっととぼけた感じのサインと作品とのギャップがまた面白い

開発:次回からはさらに踏み込んだ内容で、新しい作品をつくってみましょう。作品の素材を探しに、屋外での収録も行ってみたいと思います。

上田:はい、今日もありがとうございました!

第6回の講座内容を上田麗奈が動画でおさらい!

 第6回「仕上げ編」のイベントファイルを早回しで再生しながら、上田麗奈と藤ちょこ先生が、おさらいします。

これまでのデジタルペイントをおさらい!

上田が6回にわたって描いてきたいもちゃん改めコスモちゃんのイベントファイルを、まとめて紹介します。

 
【上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座】
 
第1回 第2回 第3回 第4回
 
第5回 第6回 第7回 第8回
 
第9回 第10回 第11回 第12回
 

PROFILE
うえだ・れいな 富山県生まれ。声優。第5回81オーディション特別賞・小学館賞、第9回声優アワード新人女優賞受賞。アニメ「Dimension W」(2016年、百合崎ミラ役)などに出演。特技は水彩画・ボールペン画、趣味は掃除。

ふじちょこ 千葉県出身、東京都在住のイラストレーター。ライトノベルの挿絵やカードゲームのイラストを中心に活動中。「openCanvas」のメインビジュアルを担当。「賢者の弟子を名乗る賢者」「八男って、それはないでしょう!」挿絵、「カードファイト!!ヴァンガード」カードイラストなど。BNN新社より画集「極彩少女世界」発売中。pixiv:藤原 27517  Twitter:@fuzichoco  公式サイト:http://fuzichoco.com

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ペイントソフト openCanvas パッケージ版
ペイントソフト openCanvas
価格:【パッケージ版】通常版 6,800円(税抜)/ガイドブック付き 7,800円(税抜)
   【ダウンロード版】通常版 5,370円(税抜)
URL:http://store.junglejapan.com/ext/oc/

動作環境(※詳細はメーカーのホームページでご確認ください。)
OS:Windows Vista Service Pack2、Windows 7 Service Pack1、Windows 8/8.1、Windows 10
HDD:インストール用に10MB以上の空き容量(画像の保存、作業領域用に2GB以上の空き容量を推奨)
CPU:SSE2に対応するx86互換プロセッサ
メモリ容量:OSが推奨するメモリ容量(32bitは4GB、64bitは8GB以上を推奨)
ディスプレイ:1024×768、True Color(1280x768以上を推奨)
インターネット接続:アクティベーション(シリアルキーの認証)、自動アップデートにはPCのインターネット接続環境が必要
周辺機器:Wacomタブレットからの筆圧に対応、TabletPC APIに対応したタブレットPCからの筆圧に対応
入力対応フォーマット:BMP、JPEG、PNG、PSD、OCI(openCanvas形式)、WPB(openCanvas1.1形式)
入力対応フォーマット:BMP、JPEG、PNG、PSD、OCI(openCanvas形式)
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