こんなにある! 京都のおもしろ現代アート拠点
KUNST ARZT 外観

こんなにある! 京都のおもしろ現代アート拠点

神社仏閣巡りや食べ歩きなど比較的ベタな観光に終始しがちな京都。アートでは、2015年の春に「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」で注目されましたが、一時期のイベントだけでなく、街に根ざしたエキサイティングなアートの場がたくさんあるのをご存知でしょうか? 10月初旬に開催されたアートフェスティバル「ニュイ・ブランシュ KYOTO」での展示を振り返りながら、オススメのスポットを紹介。新旧織り交ざったユニークな場所性は、作品をより特別なものにしてくれます。


京都市立芸術大学のギャラリー「@KCUA」

 2023年に京都駅北東の崇仁地区へ移転する一大プロジェクトが進行中の京都市立芸術大学。そのギャラリー「@KCUA(アクア)」が二条城の近くにあります。今回「ファッション」をテーマにした「ニュイ・ブランシュ」では、メイン会場のひとつ、@KCUAでパリのアート集団「アンドレア・クルーズ」のショーが開催されました。エスモード大阪校とのコラボにより、リサイクルを創造的に行う「アップサイクル」をキーワードに、京都の着物を再活用したコレクションを発表。着物と現代ファッション、日本とフランスのクリエーションが融和する瑞々しいビジョンを提示しました。

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ランウェイショーの最後には、ライムメーカーのN.O.B a.k.a. COCOSPIN によるパフォーマンスが行われた

廃校を利用した「京都芸術センター」

 京都の街歩きの中心、四条烏丸駅からも近い「京都芸術センター」は、旧明倫小学校の校舎を利用したアートスペース。1931年に建てられた建物は国の有形文化財に登録されています。

 こちらで開催されたのが、「パラレルワールド または私は如何にして世界を愛するようになったか」。日本のカンガワ ユウジンとフランスのピエール=ジャン・ジルー、2人の映像作家による展覧会です。

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カンガワ ユウジン SANSUI

 まず、カンガワは6Kカメラで撮影された映像作品《SANSUI》で、照明を落とした広いホールに水を張り、4つのモニターを設置。東北地方の民間伝承でそれぞれ「太陽の山」とされる鳥海山と、「月の山」とされる月山、双方の山を照らす太陽や月、木々や滝といった自然の風景を映し、「幻の修験道の遍路を行くある男の視点」を表現しました。靴底を水に浸しながら水鏡に反射した映像を見ていると、瞑想に耽るような感覚を体感できるのでした。

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ピエール=ジャン・ジルー Invisible Cities # Part 2 # Japan Principle

 ジルーは、フィクションを加えて現実を再構築する自身の作品を「先取りフィクション」と呼んでいます。本展では、和室の壁面に映像を投影。飛行船のような形をした「風の卵」(設計:伊藤豊雄)が東京から横浜の建築物の間をすり抜けていきます。ゆっくりと動くビルのファサードが反射して和室の障子や畳と重なり、明滅する様子は、ふと不気味な生き物に囲まれているような印象を与えます。

 両者が見せる予兆的な景色に畏怖すら感じ、緊張感をもって展示室を後にすると、昭和初期の建物に囲まれた中庭でゲートボールをするおじいちゃん、おばあちゃんたちの姿を見つけてほっこり。そんなパラレルワールドに出くわすのもこの場所ならではの体験です。

美術家・岡本光博が営む「KUNST ARZT」

 ルイ・ヴィトンやグッチ、フェンディといったハイブランドのモノグラムを使ってバッタを象った《バッタもん》など、ユーモラスでクリティカルな作風で知られる岡本光博。「KUNST ARZT」は彼が主宰するギャラリーです。

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KUNST ARZT 外観

 今回開催した自身の個展「LIFEjackets」では、生命保険会社のイメージキャラクターのぬいぐるみを縫い合わせた《LIFEjacket》と、それを着て敦賀原発付近の敦賀湾でどれくらいの時間浮くことができるかを実験している映像などを展示(結局3分くらいは浮いていたそう)。ファッションをテーマとしたニュイ・ブランシュの会期中、強い存在感を放っていました。

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岡本光博「LIFEjackets」の展示風景

異界との境界「Yokai SOHO」

 百鬼夜行の通り道とされる一条通。通称「妖怪ストリート」の入口に今年オープンした「Yokai SOHO(妖怪ソーホー)」は、フランス人建築家のブノワ・ジャケさんが空きビルを改修した複合施設。1階はカフェ、2階はギャラリー、3階は事務所やショップ、4~5階は宿。屋上には日本庭園もあります。こちらで行われていたのは、パフォーマンス・アーティストであり、ファッションデザイナーでもあるリー・バウリーのオマージュ展。今井俊介、大巻伸嗣、高田冬彦らの作品が展示され、バウリーのイメージを拡張させていました。

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「リー・バウリーへのオマージュ」展示風景

宿泊者だけが鑑賞できる「kumagusuku」

 美術家の矢津吉隆が今年はじめにオープンした「kumagusuku(クマグスク)」は、アートとホステルを融合した宿泊型アートスペース。築60年以上の木造建築を改築した2階建てで、基本的に1年毎に展示替えが行われるとのこと。 10月にスタートした企画展第2弾の出品作家は藤本由紀夫。「建物の読書」とされる記憶術に着想を得て、この空間そのものを作品化しています。滞在して鑑賞することを一種の読書行為とする、ここに泊まることでしか体験できない作品です。

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藤本由紀夫「THE BOX OF MEMORY - Yukio Fujimoto」は、2016年9月末まで開催している

 京都にはこの他にも、キュレーター遠藤水城がディレクションするウィンドーギャラリー「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)」、「21世紀型公民館」とうたわれる「Social Kitchen」などがあり、地元の作家の活躍の場としても目が離せません。

 京都を訪れる際には、今回紹介したスペースのスケジュールをチェックして行くと、さらに充実した旅となるはずです。

(文=小林沙友里)

京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA
住所:京都府京都市中京区押油小路町238-1
電話番号:075-253-1509
開館時間:11:00〜19:00(最終入館は18:30)
休館日:月曜日
URL:http://gallery.kcua.ac.jp/


京都芸術センター
住所:京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
電話番号:075-213-1000
開館時間:10:00~20:00(カフェは21:30まで/制作室・事務室は22:00まで)
休館日:12月28日〜1月4日(図書室の休室日はHP参照)
URL:http://www.kac.or.jp


KUNST ARZT
住所:京都府京都市東山区夷町155-7
電話番号:090-9697-3786
開館時間:12:00〜18:00
休館日:月曜日
URL:http://kunstarzt.com/


Yokai SOHO
住所:京都府京都市上京区一条通御前東入西町24
電話番号:075-748-0626
URL:https://www.facebook.com/yokaisoho/


KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
住所:京都府京都市中京区壬生馬場町37-3
電話番号:075-432-8168
URL:http://kumagusuku.info
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