あなたはどれが好き? 6月が美しくなる、世界に広がる雨の音楽
© peanut on the table.com 雨を題材に、インスピレーションが溢れてくることも少なくありません

あなたはどれが好き? 6月が美しくなる、世界に広がる雨の音楽

各地で本格的な雨の季節にはいり、雨音が日常的に聴こえてくる季節になりました。雨の日は足元が濡れてしまったり、何かと憂鬱なイメージで苦手な人も多いはず。しかし、雨の日独特の空気や雨音は、晴れの日にはない詩的な雰囲気を伴って、多くの楽曲のテーマとなっています。今回はそんな「雨」をテーマにした音楽を国ごとにご紹介! 聴いたあとには雨をすこしだけ、好きになってしまうかも?


ブラジルの軽やかな雨

出典:AGUAS DE MARCO
https://www.youtube.com/embed/Qle1OrunKnE

 ブラジルの音楽、ボサノヴァを生み出したとも言われているアントニオ・カルロス・ジョビンが、1970年代にエリス・レジーナとのデュエットで発表した曲がこちらの『三月の雨』です。雨の持つしっとりとしたイメージよりも、軽やかに雨水が地面や屋根の上を跳ねているような気持ちのいい印象を、この音楽は与えてくれます。

 ブラジルにとっての3月は長いながい夏の季節が終わり、雨季に入る季節。この曲に降る雨は、燃えるようなカーニバルの季節を経て、火照った人たちの心までも静かに冷ましてくれるのかもしれません。お祭りが終わってしまって淋しい気持ちと、与えられた休息にほっとするような気持ちが混ざり合っているように感じられます。

嵐のようなフランスの恋

出典:L'ORAGE - France Gall
https://www.youtube.com/embed/G4zn5i7U3nw

 こちらはもともとイタリアの人気歌手ジリオラ・チンクエッティによる1961年のヒット曲なのですが、フランス語でカバーをしているのが、本動画のフランス・ギャル。原曲ではイタリア語の曲名『La Pioggia(雨)』と題されているのですが、フランス・ギャルのバージョンではフランス語で『L'ORAGE(嵐)』と変更されているのも興味深いです。

 ちなみにこちらが原曲のチンクエッティによる『La Pioggia』です。

出典:La Pioggia - Gigliola Cinquetti
https://www.youtube.com/embed/AtiHniGIXfs

 実際に動画を聴き比べると、「雨」と「嵐」のニュアンスの違いがなんとなく伝わってきませんか? チンクエッティの歌に降る雨は、強さを湛えているよう。歌詞は「雨も私たちの愛を濡らすことはできない!」と熱く恋する気持ちを歌っているものなのですが、もしかするとフランス人であるギャルにとっての「恋」とは、しとやかな雨というよりも「嵐」そのものなのかもしれません!

ゲール語圏に降る雨

出典:Morning has broken - Cat Stevens
https://www.youtube.com/embed/U5sSEkZ86ts

『雨に濡れた朝』を、CMなどで耳にしている方も多いかもしれません。しかし、1971年にキャット・スティーヴンスがカバーしたこの曲が、古いゲール語(スコットランドやアイルランドに伝わる言語)の民謡をもとにした讃美歌であることは、ご存知でしょうか? 優しい旋律に、光に満ちた歌詞が印象的な一曲です。

 アイルランドは、二日に一度は雨が降ると言われるくらい、雨量の多い地域。この曲で歌われているのは、癒しを与えてくれるような恵みの雨です。

台湾に降る、記憶と感情の濃密な雨

出典:雨愛 - 楊丞琳(Rainie Yang)
https://www.youtube.com/embed/oec9R5ypf-o

 台湾からは情感溢れる雨の曲、ヤン・チェンリンの『雨愛』をご紹介。雨と切ない恋心を繋げるのは世界共通なのかもしれません。ただ、前例のフランスやイタリアと比べ、やはりアジアである台湾や日本では音楽に漂う湿度が高いように感じられます。

 この歌でも、「雨の降りしきるなか相手を思う気持ちが部屋を湿度で満たしていく、どうか止まないで」という歌詞が登場しています。はっきりと言葉にできない思いを雨に重ねる情感は、日本の感性にも近しく感じます。

 世界中で同じように降る雨ですが、雨と人々の心との関係性は様々ですね。

日本に降る雨

出典:SHIZK - 大橋トリオ
https://www.youtube.com/embed/rVt8EHpSh2s

 最後に、日本に降る雨の曲をご紹介しましょう。たくさんある雨の曲のなかから、最初にご紹介するのは、大橋トリオの『SHIZK』。静かに降る「雨」とつたう「涙」、むかしの「記憶」とが結びついた歌詞に、淡々としたシンプルな音楽が合わさって、雨の世界を切なく色付けしています。

出典:傘がない - UA
https://www.youtube.com/embed/WzI8SdmYZ18

 忙しない都会に降る、周りの音もネオンの色も滲み霞んでしまうような大雨を連想させるのが、こちらの『傘がない』。もともとは井上陽水による楽曲ですが、こちらはUAによるカバーです。

 雨と「君」と世間で起きている時事問題が、交互に登場する歌詞には出口がありません。こんな行き止まりのような雨の夜には、終わりが来てくれなさそうな不安を感じます。そんな狂気的な姿もまた、雨の真実なのかもしれません。しかし、苦しく辛いときに降る雨も音楽になれば、物語となって魅惑的に映ります。

出典:Re-雨 - クラムボン
https://www.youtube.com/embed/h9wgmwjgpBo

 静かに雨が降る日には、時間がゆっくりと流れるような感覚はありませんか? 雨の日にする考え事や読書、大切な人に手紙を書いたりするときに、「晴れの日には気付かなかった視点」に辿り着くことはありませんか? クラムボンの『Re-雨 』を聞いていると、雨の日ならではの時間や気持ちの流れのなかで、答えを見つけられた心持ちに、なれる気がします。

もっと雨の音楽を知りたいという雨好きなかたへ

「雨と休日」という名前の、CDオンラインショップがあります。「穏やかな音楽を集める」コンセプトの本店では、店主の方が「雨」をテーマに制作したコンピレーション・アルバムをはじめ、知る人ぞ知る美しい音楽がたくさん紹介されています。

「雨、憂鬱だな」と思う日もありますが、雨にまつわる曲はこんなにもバラエティ豊かです。この季節ならではの音楽を聴きながら、鮮やかな6月をお過ごしください!

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雨と休日
(以前は西荻窪に実店舗がありましたが、現在移転にむけて閉店されています)
URL:http://shop.ameto.biz/
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